NARRATIVE

闘病日記と化した雑記です。

『いのり』について

 

マグカルシアター参加作品

ヒカル×劇団天の河神社 合同公演
「いのり」「静寂の街を抱きしめて」

 

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無事、終演しました。

自分にとって、かけがえのないものを生み出せました。誰一人代替不可能です。代わりはいません。

『いのり』という作品について、鈴木さんの素敵な撮影による舞台写真とともに、振り返りたいと思います。

 

 

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エグチ(左)、タツキ(右)

神によって日々寄越されるシイナの偽物に怯えている

 

 

今、月の絵はわたしの部屋にありますが、ほんとうに優しく輝いています。生きていくための力をもらってます。

 

 

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シイナは神の子である 月の絵を描くことで人々に眠りを授ける

 

 

ここから先の人生、この公演で培ったものや縁というものが、永遠に寄り添ってくれるような気がします。

 

 

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こころ優しい青年タナベ

眠りを奪われたことにより正気を失っている

 

 

なにより、本職は画家でありヒロインを演じてくれた雨奥詩奈には感謝してもしきれない。二人で話した哲学や芸術、人生に対する独特な世界観は、作品に深いインスピレーションを与えてくれました。

 

 

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研究員ジュンはギターの音色で自分を宥めている

月の絵が見ている夢のなかでシイナと再会する

 

 

自分が独特な生き物であることを、同じ立場から共感して、肯定してくれた人は初めてだった。

 

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地上に顕現した際は記憶を失っていたシイナ

人々との交流を経て、失われていた過去を思いだす

 

 

自分のなかで聖域のように絵画を愛して生きてきたこと、この為にあったのだと思えるほど。心底よかった。

 

 

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世界を救うため、エグチはシイナの絵を求める

希望を失った世界に力強く言葉を投げかける

 

 

そして、この作品を共に生み出せたことで、わたしのなかにある仄暗い、救いようのない孤独が、少しだけ癒されました。愛してくれてありがとう。

 

 

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タツキは世界救済の手立てであるシイナを愛してしまう

彼女の能力を必要とする世界と、

彼女そのものを必要とする自分との間で葛藤する

 

 

自分の内面をうまく言葉にできなかったり、理解されにくい人間に生まれたこと。ほんとうに悲しくて、いつも辛くて寂しかった。けれど、この作品が過去から未来を照らしてくれるから、わたしは生きていける気がする。

 

 

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おかしくなったタナベを抱きしめるジュン

狂った世界でも支えあい生きていくことを選ぶ

 

 

関係者の皆さまには感謝してもしきれません。

いつもお世話になっている音響の鷹取さんの献身と、新鮮で敏感な感性によって作品を彩ってくれた照明の天野さん。温かな人柄で公演を支えてくれた伏見さん。素晴らしいスタッフの支えがなくては、本公演は成り立ちませんでした。ありがとうございます。

 

そして、この公演から、しばし活動休止する相棒の秋野おはぎ。どんな状況にあっても、わたしはあなたの味方だし、幸せであることを祈ってる。わたしは生きて演劇を続けるから。横浜にいるね。ゆっくり休んで。今までほんとうにありがとう。

 

 

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こころを重ねあうタツキとシイナ

つかの間の安らぎをえるシーン

 

キャストの皆さまにはなんと言えばいいのか。

まったく足りませんが、少しだけ言葉にします。

 

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エグチ役、キャンディ江口さん

 

江口さんは本作品のために、深夜にわたって作品の構築から磨きあげまで付き合ってくださいました。その他の言い尽くせないほど献身的な支えに、演劇を愛する人間のあり方を学びました。ちなみに、ラストナンバーのSigur Rósは江口さんの御提案です。素晴らしい音響センス。そして、怪演と言ってもよいほど驚異的な演技は、この作品の支柱でした。

 

 

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タツキ役、樹廉次郎

 

樹廉次郎さんは、この公演に誰よりも早く参加を表明してくれました。また、作品のために6キロの減量と肉体改造を行いました。感動的です。美しい俳優。わたしは、彼の誰よりも繊細で的確なお芝居を愛してやみません。ほんとうに。わたしの作品の主演は樹廉次郎しかいないかもしれない。必ず、またやりましょう。

 

 

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ジュン役、小早川諄さん

 

小早川諄さんは、触れたことのない芝居に食らいついて、最後まで悩みぬいて取り組んでくれました。最初は音も出せなかったギターが、幕があくと綺麗に鳴り響いていて、感動したのを覚えています。彼の成長はすさまじく、稽古初日とは科白のはきだし方がまったく違います。誰よりも吸収力の高い俳優でした。

 

 

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タナベ役、田邊洋介さん

 

田邊洋介さんは、自分が美しい人間であることを自覚していない無垢な部分を持ち合わせています。その側面が、今回の作品で素敵に浮かび上がってきたのではないかと考えています。狂気に染まった表情が誰よりも魅力的でした。いつも周りに気を配って、穏やかなムードメーカーとして存在してくれました。

 

 

皆さま、ほんとうにありがとうございます。

 

 

 

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もう一度世界を愛するため顕現するシイナ

 

 

未練はありません。

この作品から、未来へ進んでいきます。

ありがとうございました。

 

 

 

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二枚の月の絵 サブタイトルは「母」

 

 

 

 

この作品を、最愛の二人に捧げます。

 

御法川わちこ