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* この記事は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)について触れています。
悲しみや恐怖に飲み込まれると、限りなく落ちていってしまう。
終わりのないフリーフォールのような、一番怖いと思う瞬間が、ずっと続いていく感覚だ。なにかのきっかけで起こることもあるし、唐突に襲われることもある。そのまま、当時の空間に転移されることもある。
どんなに素晴らしい一日を過ごしても、ほんの些細な言葉や態度に刺激されて、何日も暗い影が胸に巣食ってしまう。そうして、全部台無しにされる。こんなに苦しいことはない。
現実を生きる時間が、削り取られる。
PTSDがどのような病かというと、今の私はこのように答える。
あの日。
わたしがわたしじゃなかったら、どうだったのだろう。
立場の強い人間だったら。女じゃなかったら。
お酒を飲まなかったら、どうだったのだろう。
人と関わるのが嫌いだったら。パートナーがいなかったら。
わたしが気にしなければ。
演劇なんてやらなければよかった。
忘れてしまえればいい。
そうしたら、こんな風にいつまでも考える必要なんてなくなる。
どうでもいい存在になれば。
わたしは電車もまともに乗れないのだ。
もううんざりだ。痛みも、恐怖も、不安も。
疑心暗鬼がとまらない。
他人を疑うような真似、ほんとうはしたくない。
人を愛するということが、容易くできていたころに戻りたい。
憎い。
・・・
・・
・
こんなふうに、永遠と考えてしまう。
自分を責めない日はない。
悪いことが起きると、やはりあの時のせいなのだ、と繋げてしまう。
こうして吐き出さないと不安定になってしまう自分も、本当に情けない。
けれど、どうしようもないのだ。
誰か助けてほしい。
・・・
たった一つの真実を残しておきたい。
わたしはあの時、嫌だった。
これは誰が何と言おうと、ゆるぎない事実だ。
それが真実だ。
自棄を起こしてはいけないよ、と、いつか誰かが言ってくれた言葉が、今の私を支えている。
2022/11/29