探すもの
そこら辺に堕ちてる木くず拾ってもいいけど。
他人の言葉を借りてもいいけど。
年齢とか性別とか。
分かりやすいものに置き換えて考えてもいいけど。
やっぱり私は。
深海魚を新しく発見したい。
風の行方を知りたい。
星々の輝きを観測したい。
眼光迸る瞬間を描きたい。
わたしを通り抜ける何かを掴みたい。
演劇は探すものだ。
何かを探してる最中は、苦しい。
例えば家を出る時に、携帯が見つからない。遅刻してしまいそうだけど、連絡が取れなくなるのは困る。だから探す。けれど見つからない。フラストレーション。
これは、そっくりそのまま演劇に置き換えられる。
劇を作る時に、いい芝居が見つからない。本番に間に合わないかもしれないけど、クオリティが伴わないのは困る。だから探す。けれど見つからない。フラストレーション。
苦しくて当たり前なんだ。
現実以上に厳しくて当たり前なんだ。
だって、携帯と違って、存在しないもの、見つからないものを探しているのだから。
でもそれでいい。それがいい。
わからないことがわかる。
これが大事なんだとつくづく噛み締める夜。
019/07/22 御法川わちこ