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血が吹きだす。
記憶の断片から。
文字の先っぽから。
そして、あの朝がやってくる。
何度でも繰り返し訪れる。
たったひとつの言葉によって蘇る。
誰か止めてくれないだろうか。
誰が止められるのだろうか。
強烈な、あまりにも強烈な吐き気。
自分の身体が、股から鼻にかけて、
ゆっくりゆっくり引き割かれていくような。
過去はすべて夢になった。
そしてまた、朝、朝、朝。
今を生きられない。
精一杯、の言葉の形が、今はっきり見える。
だから、こころに満ちたこの血を、どこかにやらねば。
『睡眠は血管なのだ』と、夢のなかで君は言った。