肋骨の隙間に愛が挟まってとれない
どうにも不在のなかに存在があるようだ
痛みが味覚のない過去を知らしめる
自分の耳からしか心臓の鼓動は聞こえない
ここからじゃ見えない
遠くから慣れ親しんだ闇がみている
指先から後悔が錆のようにひろがる
もうすぐ唇に届くのだろう
少しずつ口角が上がらなくなる
あれから魂が半分に割れてしまった
片割れはどこか少し遠いところで息をしている
気配だけが見ている
わたしはまだ生きている
もういいんだ
すべての人に理解されなくてもいい
すべての人に好かれなくてもいい
知らず知らずのうちにコンパスが回って
こころのなかに聖域ができている
光る窓辺に腰掛けた人々が見ている
その視線のあたたかさがわかる
凝り固まって煮こごりのようになったこころが
柔らかに溶けていくのをかんじる
つまらない人間になっていくのかな
父と母がわたしに背負わせた
この世に産まれるという罪を
誰かと睦み合いながら
神に許しを乞うために
生きているのか